|
ひとつひとつは小さな とても小さなもの それが全て集まって。 大切な、 この世にたった1つのモノになる。 12.淡い光がもつ輝き 前 んん〜〜。 は布団からもそもそと手を伸ばし、サイドボードの上にある朝の訪れを告げる目覚ましを止める。 「ふぁ。」 まだ覚醒には至らないが、いつまでもベッドでごろごろしているわけにはいかない。 なにしろ忍の朝は早いのだ。 同居人である彼を送り出すべく、準備のためには洗面所に向かい朝食の支度をする。 「あれ?・・・カカシさん起きてこないなー。」 いつもならこのくらいに寝ぼけた感じでリビングにくるのに。 まぁ、寝ぼけた感じなのは普段もだけど。 そんなことは思っても決して口には出来ないのだが。 言ったら最後、どんなからかいが待っているか。 「考えただけでも恐ろしい。・・・っと、そんなのどうでもいいよね。カカシさん起こさないと。」 恐らくここのところ先生以外の任務が立て続けにカカシさんのところに舞い込んでいたため、疲れが溜まっているのだ。 昨日も帰ってきてすぐ出ていったしなー。 待たずに先に寝ててって言われたから寝ちゃったけど・・・。 多分帰ってきて寝たのも朝方だったのだろう。 それでもナルトくんたちの先生を休むわけにはいかない。 寝かせてあげたいけど。 は申し訳ない気持ちでいっぱいになったが、それでもカカシを起こすべく部屋へと向かう。 ちなみにカカシの寝ているところに出くわすのは初めてではなかったが、そこは何度目であろうがはやはり緊張する。 確かに任務って言ってたし。 起こすために向かっているのだから、そうする必要はないのに は自然と忍び足でドアも静かに音をたてないようにそっと開けた。 カカシさん・・・? は静かな部屋に似つかわしくないほど、自分の心臓がバクバクと音をたてているのを感じた。 そんなをよそに目の前のカカシはすやすやと眠っている。 うわー//// 普段家では見慣れているはずの素顔も。 瞳を閉じているというだけで、どうしてここまで吸い込まれそうなほど見いってしまうのか。 ため息がでるほどに、カカシの素顔は整っているとは思った。 少しだけなら・・・いいかな? 前からずっと思っていた事をは密かに実行する。 そっと、そっと。 まだ起きないで。 ふわ。 はカカシの白銀の髪の毛に触れた。 思ったより柔らかいんだー。 そうして何度かカカシの髪に己の指をすかし、頭を撫でた。 ふふふ、いつもは私がカカシさんに撫でられてばかりだもんね。 たまには仕返し♪♪ 先ほども思ったが、これは寝ているからこそ出来ることで 起きている時に仕返しなどしようものなら、さらにが想像もつかないような仕返しが返ってくるだけだ。 カカシにしたらの方から触れてもらえるなど、喜ばしい事この上ないのだが。 この娘はそれがカカシを喜ばせるということを、まだ知らない。 こうしてカカシの知らぬ間に密かな望みが叶い、の顔も自然と綻ぶ。 満足したはすっ、と手を引っ込めた。 起こさなきゃ。 でも起こしたくない。 触れても目を覚まさないほどに疲れているのだろうか。 それに何よりは、 この空間を この光景を、 カカシの姿をいつまでも見続けていたいと思った。 少なくとも今、この瞬間はカカシはただの人として安らかに存在している。 しかしは急に恐ろしくなった。 このまま目を覚まさなかったら?などと、普段の自分なら馬鹿げていると思う考えで途端に頭がいっぱいになった。 「カカシさん・・・。」 どうしてだろう。 物凄くカカシさんに名前を呼んで欲しい。 一度は引っ込めた手を今度は腕に起き、身体を揺する。 「朝ですよ、カカシさん。起きて下さい。」 「ん、」 カカシは眉間に皺を寄せた後、ようやく閉じていた瞼を上げた。 その瞳に自分が映っていることにホッとして、は詰めていた息をそっと吐く。 「・・・?」 はそれまでの不安をすぐに笑顔にすり替える。 「おはようございます。カカシさん、いつまでも起きて来なかったので起こしにきちゃいました。」 いつもの自分なら、誰かが部屋に入ってきた時点で絶対に気づくはずなのに。 こんなに近くにいても覚醒しなかったとは・・・。 初めは驚いたがカカシはある考えにたどり着き、そして思い切り 照れた。 オレってば、どんだけに気ィ許しちゃってんのよ。 しかし恥ずかしさから、それをに悟られたくはなくて。 「あー?」 「はい。」 カカシはの耳元に顔を近づけ、素早く囁く。 「夜這いなら夜がいーな、オレv」 「カッ・・・///!!」 瞬時に身を引き、真っ赤になる。 「あー、でも別になら朝でもいーかもvv」 さすがにその発言は不味かったのか、はバタン!とやや乱暴にドアを閉めて部屋を出ていってしまった。 ダダタ、とキッチンまでかけていく音が聞こえる。 「くくくっ、さすがに今のはアウトだったかなー?」 ちょっとやり過ぎたのか、その後ご飯を食べている間も一向にの機嫌は直らなかった。 まぁ、照れてるってだけみたいで少しはしゃべってくれたんだけどね。 「ー。」 「少し寝坊したんですから、さっさと支度してムサシくん呼んでください。」 「ごめんってー。ね?」 「・・・・・。」 あらま、ちょっと怒らせちゃったかな? 珍しく怒った顔をするもかーわいいなv なんてそんな場合じゃなかった。 カカシは玄関に向かい素早く親指に傷をつけ、慣れた様子で印を結びムサシを口寄せした。 「おはよ、ムサシ。」 「あぁ。・・・なんだ?またお前のことからかっただろ。」 「えーなんでわかるのよ?」 ハァー、とムサシは思い切りため息をついた。 「んなもん、見りゃわかる。明らかに怒ってるぞ、あれは。」 「アハハ、ちょっとやり過ぎちゃったみたーい。」 ポリポリと頭の裏を掻きながら話すカカシの様子には、一切反省の色は見られない。 「あのなァ。」 「ま、ムサシくんのお手は煩わせませんからv」 ポフ、と頭に手を置いてカカシは立ち上がる。 「ーオレそろそろ出るねー?」 その声にはぱたぱたと玄関にかけてくる。 「あ、ムサシくん。おはよー。」 「おはよう、。」 「怪我はもう平気?」 「あぁ、もうすっかりな。」 「じゃあ、いってきます。」 「・・・いってらっしゃい。」 ムサシの登場で一時忘れていたが、そう言えば自分はカカシに少し怒っていたのだ。 は思い出したように、表情を固まらせる。 カカシはその可愛いらしさに、笑いそうになるのを必死に堪えた。 「ごめーんね?」 「カカシさん、ナルトくんたち待ってますよ。」 「ん、あーそうだ。ね、?」 「はい。」 ようやく目を見てくれた。 「今夜出かけるからさ、早めにご飯準備しておいて?」 「あ、はい。また任務・・・ですか。」 自分の事のように苦しそうな表情を浮かべる。 そんな顔しちゃダーメ。 オレ、調子に乗っちゃうでしょ? ポンポン、と頭を撫でる。 「ちがーうよ。今夜はオレとで出かけるの。」 「え?あたしと・・・ですか?」 「そ。ちょっと見せたいものがあるんだ。で、準備がいるから早めにご飯食べておきたいのよ。」 「はぁ、わかりました。」 「日が暮れる前には帰ってくるね。」 「はい。」 不思議そうにはカカシを見るが、久しぶりのカカシとの外出にすぐに嬉しそうな表情になる。 「じゃ、今度こそいってきます。」 「はい、お気をつけてv」 玄関のドアを開けた頃にはすっかり機嫌も直り、いつもの笑顔で見送ってくれた。 「ホーントってば、単純なんだから。」 ま、そんなとこがいいんだけどねv 「さーて、じゃあ私も家の事頑張らなくちゃね!」 ムサシが見上げるとは腕まくりをして気合いを入れて家事に取りかかりに行く。 簡単だな。 素直で、思ったままが表情にでる。 天然だけど、喜怒哀楽がここまではっきりしてるヤツは忍の俺たちにしてみればとても居心地がいい。 温かくて。 ムサシにとってもいつしか日だまりのような存在になっていたは カカシに命じられたからという枠を越えて、気づけば自らが護りたいと思う存在になっていた。 そりゃ、カカシがあぁなるわけだ。 ムサシは窓際でのんびりとすごしながら、せっせと家を動き回るを横目に見つつも柄にもない事を考えていた。 家事も一段落したらしい午後の昼下がり。 「今日はさ、買い物の前に火影様のところに行ってみようと思うんだー。」 「三代目か?」 「うん。しばらくお会いしてないし、元気ですよーって報告もかねて。」 「わかった。じゃあちょっと待ってろ。」 「え?あ、うん。」 そう言い残し、カラカラと器用に窓を開けムサシは出かけて行った。 どこ行ったんだろ?と思いきや、10分と経たないうちに戻ってきた。 「茶菓子用意して待ってるってよ。」 「え?」 「だから火影様に会いに行くんだろ?今行ってアポとっといたから、いつでもいいぞ。」 う、うわ〜〜〜。 は目をキラキラさせて動かない。 「・・・なんだよ?」 がばッ。 「うわ!」 「ムサシくんてやっぱ紳士だぁvvかっこよすぎる〜〜!!」 「はぁ?オイ、お前///」 ぎゅうぎゅうと抱きしめて頬をすりよせてくるに戸惑うムサシ。 これは・・・・ カカシには断固内緒だな。 そんなこんなで、三代目火影のもとへ向かったとムサシ。 ムサシが事前に話をつけていたため、以前よりすんなり通された。 「えへへ、ありがとう。ムサシくんv」 「人前では抱きつくなよ。」 「そんなことしませーん。」 っていうかムサシくん、人前じゃなかったらいいんだ(笑) 相変わらずドアの前にいるお付きの人はなんでこんな小娘が?という視線をよこしたが、 隣に忍犬を連れているため複雑ながらも納得しているようだった。 「こんにちは。」 「あ、あぁ。」 はにっこりと笑顔で挨拶をする。 ・・・・・/// って、いかんいかん! 「火影様、お連れしました。」 ややあってドアの奥からくぐもった声が聞こえてくる。 お付きの人はドアを開けて中へとを促したあと、「じゃあな。」と以前よりだいぶ柔らかい表情で言い残し去って行った。 「火影様、お忙しいところすみません。」 「いい、いい。ほれ、そんなとこに突っ立ってないでこっちに座んなさい。」 「あ、はい。」 相変わらず気さくで物腰の柔らかい火影様。 本当この方に会うと安らぐなぁ。 「お茶でいいかの?」 「あ、そんな。私自分でします!」 「そうか?」 火影様の分も入れ直してから自分のお茶も用意して、はようやく落ち着いて席についた。 「久しぶりじゃのォ、とこうして話をするのは。」 火影様はお茶をすすりながら、嬉しそうに話す。 「はい、前からそろそろお会いしたいなとは思っていたんですが。」 「そうか。わしはまたこんな老いぼれはさっさと忘れられてしまったのかと思うたぞ?」 「なっ!そんなこと、断じてありません!!」 「ハハハ、冗談じゃよ。」 あの、・・・なんか私のいじられキャラ皆さんに定着してません? 「火影様まで私で遊ばないでください。」 なんとなくバツが悪くて、は手元のお茶を飲んだ。 「すまん、すまん。ついなァ。して、生活の方はどうじゃ?不自由ないか。」 「はい!お陰様で毎日楽しく過ごさせていただいてます。」 それからあったことを順にかいつまんで火影様に話した。 きっとカカシさんから報告を受けているんだろうけど、嫌がりも口を挟むでもなく 頷きながら時には自身の感想も述べながら聞いて下さった。 「そうか。知り合いも随分増えたようだし、充実しておるようでよかったわぃ。」 「はい!」 「こないだの事はすまなかったな。お前を危ない目に合わせてしもうた。」 「こないだ・・・って、あぁ!あの男の人ですか?大丈夫ですよー。」 「じゃが、一般人のそなたが戦闘に巻き込まれたとなると怖かったじゃろう?」 「あーまぁ、怖かった・・ですけど。でもカカシさんとムサシくんが助けてくれましたから。」 ね?とは足元にいるムサシを見やる。 その様子に火影は微笑み、ならよい。と頷きながら煙管をふかす。 「あの、・・・火影様?」 「なんじゃ?」 「あーえっと、こんなこと私が口を挟むべきじゃないと思うんです・・・けど。」 言いづらそうに、下を向く。 「うむ、まぁ言うてみい。」 「その、差し出がましいとは思うんですけど。最近カカシさん、任務続きで疲れてるみたいなんです。」 「ふむ。」 確か下忍指導の後に何度か使いをやったな。 「だから、そのーもう少し・・・。」 「休ませてやれ、と。そういうことかの?」 言いづらそうにしているの言葉を、火影は代わりに言ってやる。 「はい、あの・・・すみません。私がこんなこと言うなんて、カカシさんにも失礼だとは思ったんですけど。」 「まぁ、そなたがそこまでして言うからには何かあったんじゃろう?」 「はい。」 は今朝の事を話した。 カカシが自分が触れるまで目を覚まさなかったため、よほど疲れているのではないかと心配になったと。 「そうか。」 の深刻さとは別に、火影の表情は実に柔らかい。 あのカカシがのォ。 「わかった。その辺は今後考慮するようにしよう。」 カカシの暗部時代を知っているだけに、多少歳を重ねているにしても現状の任務数でオーバーフローしているとは考えにくい。 確かに疲れてはいるだろうが・・・。 それだけに甘えておるということじゃな。 「ありがとうございます。あの、この事は。」 「大丈夫じゃ、カカシには内緒なのじゃろう?」 「はい、私がこんなこと言ったなんて知ったらいい気はしないでしょうから。」 まことによい傾向じゃ。 「あ、私そろそろ帰ります!」 「そうか?」 「はい、すっかりお仕事の邪魔してしまって。すみません。」 「なーに、と話すのは楽しいからのぅ。気にするな。」 「ありがとうございます。それに今日はカカシさんと約束があるんです。」 「ほぉ。」 の嬉しそうな表情に火影も思わず目を細める。 「またお邪魔しに来てもいいですか?」 「もちろんじゃ。」 「では、今日はありがとうございました。」 立ち上がり、はぺこりとお辞儀をする。 「そうだ、今度来るときはお茶菓子自分で作ってきます!」 「ハハハ、別に気にせずともよいがな。の手作りは食べてみたいの。」 「お口に合うかわかりませんが・・・では、失礼します。」 「うむ、いつでも待っとるぞ。」 「はい!」 お邪魔しました、ととムサシは部屋から下がった。 それから夕食の買い物を終え、準備をしていると程なくしてカカシが帰宅した。 「ただーいま。」 「カカシさん、おかえりなさい。お風呂入れますよー。」 は、キッチンから顔を覗かせ身に着けているものをはずすカカシに言う。 「ん、ありがと。じゃーちゃっちゃと入ってくるね。」 「はーい。あがったころにはご飯出来てますから。」 「りょーかい。」 風呂からあがったというのに、この後出かける予定があるためカカシさんはお風呂前と同じ忍者姿をしている。 しばらく一緒に生活していてわかったことなのだが、 基本的に忍者には私服というものが存在しないらしい。 忍服といって、カカシさんやイルカさんのように黒服にベストが一般的なもので 下忍のナルトくんやくの一の人たちは、各々好きなものを忍服として着ているということをカカシさんから教わった。 なので、初めて見たときはそりゃー驚いたのだがカカシさんの洋服は ベストの下に着ている黒服の上下と、少しの防寒具しかない。 いいんですか?と聞いてみたが、私服などあっても着る機会がなく そもそもオシャレの概念も存在しないらしく、べつに困ることもないしねー。という答えが返ってきた。 (もしかしたらカカシさんだけなのかもしれないけど。) 制服みたいなもんなんだろうけど・・・。 たまには違う服も着てみればいいのに、と思うであった。 「じゃあ、いきますか。」 「はーいvv」 「楽しそうだねぇ、サン。」 行き先を知らずとも、自然とわくわくしている。 そんなを見て、なんだか自分まで嬉しくなるカカシ。 「そりゃー久々のおでかけですもん♪♪楽しみですよー。」 子どものようだ、とカカシはクスクス笑っていた。 「ムサシ、今日もごくろーさん。」 「あぁ、じゃあまたな。」 「ありがとう、ムサシくん。」 「、何処に行くかは知らんが気をつけろよ。」 「ちょっとームサシったら、オレがいるのにそういうこと言う?」 「・・・・お前、ある意味で一番危険人物だろ。」 ムサシは冷やかな目でカカシを見る。 「そっか、カカシさん!ムサシくんも一緒に連れて行きましょう!」 「ちょ、までなんてこと言うのよ。」 「アハハー冗談です。」 まぁ、微妙なラインだからあんまり冗談にならないんだけどねー。 でも今日はダーメ。 「じゃあ、いってきます。」 「おー楽しんで来い。」 ムサシと別れ、カカシはいつものようにを抱えて目的地まで瞬身で移動した。 さーてさて、久々にまともに連載書いてます。 カカシ先生はさんをどこに連れて行くつもりでしょうかvv 後半に続きます。 |